Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

ja-reading.com

Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

ひかげのまち

幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選

松本 泰

Lee 幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選 (ひかげのまち) de 松本 泰 (まつもとたい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 52.797 caracteres · 107 pantallas

Aozora Bunko

二人は別々の事を考えながら、霎時黙って椅子にかけていた。

「林小父さんは此頃どうしていらしって?」編物を膝へ置いて、硝子戸越しにぼんやりと戸外を眺めていたビアトレスは、突然声をかけた。

「伯父ですか、……別に平常と変った事はないと思いますが、……」

「そうなの、家の母さんは此五六日ほんとに様子が訝しいのよ。貴郎はそれに気がお付きになって?」

「そう仰有れば、昨夜も何だかソワソワして、淋しそうにしていらしったと思います」

「エエ、本統にそうなの、私何だか心配で仕方がないのよ。そして不思議な事には、此節しげしげと、何処からか手紙が参りますの、その度に母さんは悲しそうに溜息をしていらっしゃるわ」

「母さんは其事に就ては、何事も貴女に仰有いませんか」坂口は怪訝そうに相手の顔を視守った。

「エエ、私は心配になって、度々その訳をお訊きするのですけれども、その事に就ては何も仰有らず、手紙が来ることさえ、私に隠匿そうとなすっていらっしゃるのよ。何か凶い事でも起ったのではないでしょうか」

ビアトレスの言葉を聞いて、坂口は前夜伯父の書残していった不思議な置手紙を思出した。彼はその事が危く口に出かかったが、気がついて口を噤んでしまった。