Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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まぼろしのたて

幻影の盾

夏目 漱石

Lee 幻影の盾 (まぼろしのたて) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 22.372 caracteres · 45 pantallas

Aozora Bunko

……」ウィリアムは急に眼を転じて盾の方を見る。彼の四世の祖が打ち込んだ刀痕は歴然と残っている。ウィリアムは又読み続ける。「われ巨人を切る事三度、三度目にわが太刀は鍔元より三つに折れて巨人の戴く甲の鉢金の、内側に歪むを見たり。巨人の椎を下すや四たび、四たび目に巨人の足は、血を含む泥を蹴て、木枯の天狗の杉を倒すが如く、薊の花のゆらぐ中に、落雷も耻じよとばかりと横たわる。横たわりて起きぬ間を、疾くも縫えるわが短刀の光を見よ。吾ながら又なき手柄なり。……」ブラヴォーとウィリアムは小声に云う。「巨人は云う、老牛の夕陽に吼ゆるが如き声にて云う。幻影の盾を南方の豎子に付与す、珍重に護持せよと。われ盾を翳してその所以を問うに黙して答えず。強いて聞くとき、彼両手を揚げて北の空を指して曰く。ワルハラの国オジンの座に近く、火に溶けぬ黒鉄を、氷の如き白炎に鋳たるが幻影の盾なり。……」この時戸口に近く、石よりも堅き廊下の床を踏みならす音がする。ウィリアムは又起って扉に耳を付けて聴く。足音は部屋の前を通り越して、次第に遠ざかる下から、壁の射返す響のみが朗らかに聞える。何者か暗窖の中へ降りていったのであろう。