Clásicos japoneses con furigana
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こうてい
後庭
宮本 百合子
Lee 後庭 (こうてい) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 1565 caracteres · 4 pantallas
いつもの様に私は本を持って庭に出た。
書斎の前の木の茂みの深い間々を、静かに読みながら行き来すると、ピッタリと落つきを持って生えた苔の美くしい地面の何とも云えず好い一種の香いが、モタモタした気持をスッキリ澄せて行く。
二三度左手を帯にはさんで行ったり来たりすると、何となし急に周囲の景色に気をとられた。
この二三日何かして一度も庭に出ずに居た間に大変、変化をした様に思われる。
勿論、天気が妙に曇って居る故も有るだろうが、木の緑りが堅い様な調子を帯びて、くっきりと暗い陰を作って居る葉かげ等には、どうしても手を突き込めない様な底気味悪い冷やかさがただよって居る。
庭の真中に突立って自信のあるらしい様子をして居る青桐がめっきり見すぼらしくなり下って、あの古ぼけたレースをぶら下げた様な葉の姿を見るといやだと外思い様がない。
白髪頭を振りたてて日かげのうす暗く水臭い流し元で食物をこね返して居る貧乏な婆の様だ。
秋の声を聞くと何よりも先に、バサリと散る思い切りの好い態度を続けて行かないのかいやになる。
ドロンとした空に恥をさらして居る気の利かない桐を見た目をうつすと、向うと裏門の垣際に作られた花園の中の紅い花が、びっくりするほど華に見える。