Clásicos japoneses con furigana
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きょうふのくちぶえ
恐怖の口笛
海野 十三
Lee 恐怖の口笛 (きょうふのくちぶえ) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 60.713 caracteres · 122 pantallas
懐中電灯は静かに動く。――そして函の陰へ隠れている斃死者の顔面を照らし出す。まず、目につくのは、鋭い刃物で抉ったような咽喉部の深い傷口――うん、やっぱりさっき口笛が聞えたとき、残虐きわまりなき吸血鬼が出たのだ。帽子は飛んでしまっているが、グッと剥きだした白眼の下を覆う黒い覆面の布。おお、これは先刻この地底へ下っていった黒影の人物だった。そして知っている人ならば、誰でもこれがいま都下に名高い覆面探偵青竜王だと云い当てたろう。ああ、青竜王は殺されたのだ。なぜこんな地底でムザムザと殺されてしまったのだろう。
「いいですか。この覆面を取ってみましょう」
闇の中から男の声がした。それは懐中電灯を持っている人物の声だろう。
光芒の中に、一本の腕がヌッと出てきた。それは屍体の覆面の方に伸び、黒い布を握った。ずるずると覆面は剥がれていった。そして果然その下から生色を失った一つの顔が出て来た。ああ、その顔、その顔、蝋のようなその顔の、その頬には醜い蟹の形をした痣が……
「おお、これは痣蟹仙斎……」
なんということだ。覆面探偵というのは、痣蟹仙斎だったのか。しかし不思議だ。