Clásicos japoneses con furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lee 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) de 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 143.735 caracteres · 290 pantallas
「そう具体的に挙げろと言われちゃ、なんにも言えないがね。きみが偽映鏡の話をするから、ぼくもそれを譬えに使っただけで……」
永峯もそう言って、今度はまともに吉本の顔を見ながら爽やかに笑った。
そこへ、雅子が女中に果物やサイダーなどを持たせて出てきた。彼女は清楚に薄化粧を刷いて、いっそう奇麗になっていた。
「さあ、どうぞ、吉本さん」
彼女はそう言って、彼らのコップにサイダーを注いだりした。秋川の妹であったころに比べると、彼女はいかにも若妻らしい淑やかさを見せていた。
「なにも構わないでください。それよりも、雅子さんもぼくらの仲間に入っちゃどうです?」
「え、入れていただきますわ」
彼女は明るく微笑みながら傍の椅子に腰を下ろした。
「永峯! それできみはいったい、いまどんなことをしているんだ?」
「いまは搾取階級なんだ」
「勤めているんだろう? いったい、何をしているところなんだい?」
「これさ。こんなものを拵える会社の事務所なんだ」
永峯は爪で磁鉄の灰皿を弾いてみせた。灰皿は金属的な余韻を引いて鳴った。
「ばかに頑丈なもんだね。売れるのかね?」
「売れるには売れるんだが、どうもその遣り口が面白くないんでね。