Clásicos japoneses con furigana
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きょうふおう
恐怖王
江戸川 乱歩
Lee 恐怖王 (きょうふおう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 66.038 caracteres · 133 pantallas
伯爵は蘭堂の呑気らしいいたずらを見て癇癪を起した。
「このピアノ痛んでいるんですか。ちっとも音色が出ませんね」
蘭堂はまだ楽器に気をとられている。
「そんなこと、どうだっていいじゃありませんか」
「イヤ、そうでないのです。どうもおかしいですよ。こんな変な音を出すピアノなんて、聞いたことがない」
蘭堂は云いながら、今度は両手の指で、鍵盤の端から端まで、目茶目茶にかきならした。
ギングン、ギングン、ギングン、……
何とも云えぬ気味の悪い音が、部屋中に響渡った。だが、アア、あれは何だろう。金属性の音に混って、笛の様な、甲高い途切れ途切れの声が、どこからともなく聞えて来るではないか。
「オヤ!」
蘭堂はゾッとした様に、鍵盤から手を引いた。
併し、ピアノは黙らない。笛の様な声がいつまでも続いている。余韻にしては余り長いのだ。しかも、どこやら人の心をえぐる様な調子を持っている。
「人の声ですね、確に」
蘭堂は伯爵夫妻と顔見合せて、囁き声で云った。
「併し、誰もいないじゃありませんか」
伯爵はさも気味悪げに部屋の中を見廻した。
「イヤ、この中にです」
「エ、エ、ピアノの中に?」