Clásicos japoneses con furigana
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あくにんのむすめ
悪人の娘
野村 胡堂
Lee 悪人の娘 (あくにんのむすめ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 13.405 caracteres · 27 pantallas
六
「サア、思い立ったら早い方がいい、あいつだって、軍用金が無くなりゃ、直ぐにも穴へ行くに極って居るんだ。これからすぐ出かけて行って、セメントの粉をかぶって居るほどの、石という石、材木という材木、小屋でも物置でも、しらみ潰しに探して見よう」
六
あくる日鳴海司郎が、会社の仕事を片付けて大川端へ駆け付けたのは、もう五時過ぎ、遅々たる春の日も、夕靄の中に沈もうとして居る時分でした。
浅野セメントの近所、河岸ぶちを見廻して歩くと、なるほど、あらゆる石垣、材木、橋も倉庫も、かなり丁寧に調べられたようですが、不思議なことに、それが一つも置換えられても、掘り起されもしては居りません。
「穴とやらが見付からないのかな」
と思いながら、新大橋へ来ると、川蒸気の発着所に居るのが、昨日の無頼漢の一団です。セメントに汚れた、がっかりした顔を見ると、探検の不成功に終ったのは明かです。
その内に蒸気が来ると、互に眼顔で話し合って、子分共は岸に踏み止り、親分だけ一人船に乗り込みました。鳴海司郎、何うしたものかと一寸迷いましたが、三四人の子分よりは、たった一人の親分の方が重要らしいと思いましたので、直ぐ後から飛乗って、そしらぬ顔で、親分の動静を見守ることにしました。