Clásicos japoneses con furigana
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あくじゅうへん
悪獣篇
泉 鏡花
Lee 悪獣篇 (あくじゅうへん) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 36.715 caracteres · 73 pantallas
穉い方は、両手に舷に掴まりながら、これも裸の肩で躍って、だぶりだぶりだぶりだぶりと同一処にもう一艘、渚に纜った親船らしい、艪を操る児の丈より高い、他の舷へ波を浴びせて、ヤッシッシ。
いや、道草する場合でない。
廉平は、言葉も通じず、国も違って便がないから、かわって処置せよ、と暗示されたかのごとく、その苫船の中に何事かあることを悟ったので、心しながら、気は急ぎ、つかつかと毛脛長く藁草履で立寄った。浜に苫船はこれには限らぬから、確に、上で見ていたのをと、頂を仰いで一度。まずその二人が前に立った、左の方の舷から、ざくりと苫を上へあげた。……
ざらざらと藁が揺れて、広き額を差入れて、べとりと頤髯一面なその柔和な口を結んで、足をやや爪立ったと思うと、両の肩で、吃驚の腹を揉んで、けたたましく飛び退いて、下なる網に躓いて倒れぬばかり、きょとんとして、太い眉の顰んだ下に、眼を円にして四辺を眺めた。
これなる丘と相対して、対うなる、海の面にむらむらと蔓った、鼠色の濃き雲は、彼処一座の山を包んで、まだ霽れやらぬ朝靄にて、もの凄じく空に冲って、焔の連って燃るがごときは、やがて九十度を越えんずる、夏の日を海気につつんで、崖に草なき赤地へ、仄に反映するのである。