Clásicos japoneses con furigana
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ゆびとゆびわ
指と指環
佐左木 俊郎
Lee 指と指環 (ゆびとゆびわ) de 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 5538 caracteres · 12 pantallas
赤黒い指、短い指。骨張った指。彼は街上で行き合う女達の指さえも見逃さなかった。しかし彼はそのたびに落胆を繰り返させられるばかりだった。そして最後に彼は、女給の中に綺麗な指を探ろうとしてここに来たのだった。
「お待ち遠うさま。」
他の女給がカクテルを運んで来た。彼はそれを受け取らずにその女給の指に眼を注いだ。半透明なほど鈍白い丸味を帯びた指だった。
「君は、綺麗な指をしてるね。ちょっと!」
彼は左の手を握った。右手ではチョッキの内ポケットに指環を探った。
「私の手なんか駄目ですわ。節が高くて……」
「いや、ちょっと!」
彼はそう言いながら彼女の指に指環を嵌めてみた。併し指環は固くてどうしても嵌まらなかった。
「どうなさるんです?」
彼女は彼の顔を怪訝そうに視詰めた。
「やっぱり君の指も、駄目だね。綺麗は綺麗だが……」
彼は彼女の手を投げ出すようにした。彼女の指は、節が高いばかりでなく、彼の理想と合致するためにはあまりに短かった。
「駄目ですわ。私の指は節が高くて。」
「少し短いね。もう少し細くて長いと、この指環を嵌めてやるんだが……それに爪が……」
彼は眉を寄せるようにしながら、掌の中に指環を振り転がした。