Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Lee 探偵夜話 (たんていやわ) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 140.363 caracteres · 277 pantallas
男というのは父ひとりで、ほかはみな女ばかりであるから、なにかの事があると一倍に騒ぎ立てるようにもなる。それがうるさいので、父ももう打ち捨てては置かれなくなった。
「おおかた野良犬でも這い込むのだろう。」
こうは言いながらも、ともかくもそれを実験するために、父はひと晩眠らずに張り番していた。それには八月だから都合がいい。残暑の折り柄、涼みがてらに起きていることにして、家内の者はいつものように寝かしつけて置いて、父ひとりが縁側の雨戸二、三枚を細目にあけて、庭いっぱいの虫の声を聞きながら、しずかに団扇を使っていた。まだその頃のことであるから、床の間には昔を忘れぬ大小が掛けてある。すわといえばそれを引っさげて跳り出すというわけであった。
ことしはかなりに残暑の強い年であったが、今夜はめずらしく涼しい風が吹き渡って、更けるに連れて浴衣一枚ではちっと涼し過ぎるほどに思われた。月はないが、空はあざやかに晴れて、無数の星が金砂子のようにきらめいていた。夜ももう十二時を過ぎた頃である。庭のどこかでがさがさという音が低くひびいた。それが夜風になびく草の葉ずれでないと覚って、父は雨戸の隙き間から庭の方に眼をくばっていると、その音は一ヵ所でなく、二ヵ所にも三ヵ所にもきこえるらしい。