Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ぶんしのせいかつ

文士の生活

夏目 漱石

Lee 文士の生活 (ぶんしのせいかつ) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 3660 caracteres · 8 pantallas

Aozora Bunko

尤も此三十五版と云うのは上巻で、中巻や下巻はもっと版数が少い。幾割の印税を取った処が、著書で金を儲けて行くと云う事は知れたものである。

一体書物を書いて売るという事は、私は出来るならしたくないと思う。売るとなると、多少慾が出て来て、評判を良くしたいとか、人気を取りたいとか云う考えが知らず知らずに出て来る。品性が、それから書物の品位が、幾らか卑しくなり勝ちである。理想的に云えば、自費で出版して、同好者に只で頒つと一番良いのだが、私は貧乏だからそれが出来ぬ。

衣食住に対する執着は、私だって無い事はない。いい着物を着て、美味い物を食べて、立派な家に住み度いと思わぬ事は無いが、只それが出来ぬから、こんな処で甘んじて居る。

美服は好きである。敢て流行を趁う考も無いし、もう年を取ったからしゃれても仕方が無いと思って居るので、妻の御仕着せを黙って着て居るが、女などがいい着物を着たのを見ると、成程いいと思う。

食物は酒を飲む人のように淡泊な物は私には食えない。私は濃厚な物がいい。支那料理、西洋料理が結構である。日本料理などは食べたいとは思わぬ。尤も此支那料理、西洋料理も或る食通と云う人のように、何屋の何で無くてはならぬと云う程に、味覚が発達しては居ない。