Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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しゃよう

斜陽

太宰 治

Lee 斜陽 (しゃよう) de Dazai Osamu (太宰 治) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 89.822 caracteres · 176 pantallas

Aozora Bunko

と、私の恋しているひとの身のまわりの雰囲気に、私の匂いがみじんも滲み込んでいないらしく、私は恥ずかしいという思いよりも、この世の中というものが、私の考えている世の中とは、まるでちがった別な奇妙な生き物みたいな気がして来て、自分ひとりだけ置き去りにされ、呼んでも叫んでも、何の手応えの無いたそがれの秋の曠野に立たされているような、これまで味わった事のない悽愴の思いに襲われた。これが、失恋というものであろうか。曠野にこうして、ただ立ちつくしているうちに、日がとっぷり暮れて、夜露にこごえて死ぬより他は無いのだろうかと思えば、涙の出ない慟哭で、両肩と胸が烈しく浪打ち、息も出来ない気持になるのだ。

もうこの上は、何としても私が上京して、上原さんにお目にかかろう、私の帆は既に挙げられて、港の外に出てしまったのだもの、立ちつくしているわけにゆかない、行くところまで行かなければならない、とひそかに上京の心支度をはじめたとたんに、お母さまの御様子が、おかしくなったのである。

一夜、ひどいお咳が出て、お熱を計ってみたら、三十九度あった。

「きょう、寒かったからでしょう。