Clásicos japoneses con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lee 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 185.353 caracteres · 371 pantallas
「……ま。仰せられますこと」
寧子は、笑靨へかけて、眼のうちの白珠をほうりこぼした。欣し泣きして、良人と共に家へ上がった。
独身でいた頃の家とは同じ家でもまるで見違える。塵一つない。どこを見ても、妻の手が光っていた。
その光のうちでも、藤吉郎の心の奥所まで映した大きな光は、まだ檜の板も新しい神棚の一穂の神灯であった。また、次の間の仏壇の灯であった。
設けられてある主人の褥に坐るまえに、彼は、神榊の下に坐して、両手をつかえ、また退って、次の間の仏壇へ詣でて掌をあわせた。
もとより独身の頃は、神棚もなかった。仏壇もなかった。同時に、家中に映すこんな耀きもなかった。
仏壇といっても、寧子はまだ良人の遠祖も近親の故人も知らなかったので、ただ一体の弥陀如来の持仏をそこに祀っただけのものである。けれど黙拝した良人はそれで満足したらしい容子なので、密かに心を安んじた。
そうしてやがて、具足も脱ぎ、小袖を着て、自分の体になると、藤吉郎は、
「さあ、正月だ。寧子、わがままいうぞ。まっ先に風呂だ。何、沸いているか。剃刀も備えておけよ。……それから喰べたい。そちの炊いた飯が喰いたい」