Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lee 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 185.353 caracteres · 371 pantallas

Aozora Bunko

翌日は、彼の母が、洲股に着く日であった。藤吉郎は従者を連れて、城外一里余の柾木村の端れまで、母の駕籠を迎えに出ていた。

村端れの民家に駒を繋いで、藤吉郎主従は、やがて着くはずの老母の駕籠を待っていた。

壁と屋根ばかりな茅屋へ、領主が休息したので、村民は、ひどく恐縮して、あわてて床几や蓆を持ち出して供えるやら、村長の娘が盛装して接待するやら、時ならぬ騒ぎだった。

晩秋の空は碧い。

民家の籬には、菊がにおい、銀杏の梢には、鵙が高啼いていた。

「中村を思い出すなあ」

藤吉郎は、側にいる家来へいった。何につけても、彼は郷土を忘れていない。

そのうちに、村の腕白や洟たらしが、蜂の子みたいに集まって来た。木蔭や藪の中から覗いて、

「殿さまだよ、あの人」

「違うよ、こっちの人だよ」

「立派だなあ」

「いい馬だなあ」

初めは畏れて遠くから囁いていたが、そのうちに、そこらを駈け廻ったり、何か、遊戯を始めて、わいわい騒ぎ出した。

村長の紋付を着た老人が、

「これッ」

と、呶鳴りつけて、

「御領主さまの前で、わいら、なんというこッちゃ。あッちへ行きおれッ。行きおらぬと、棒をくらわすぞ」