Clásicos japoneses con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lee 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 185.353 caracteres · 371 pantallas
「織田殿が六条へお入りあった」
と、聞え渡るだけでも、洛中は明るくなった。殿上人も庶民も安心した。
彼の鉄軍は、洛外から畿内へわたって、ふたたび時の氏神の威力を示した。
――が、信長は、
「自分が来たのは、そんな草賊どもを相手にしようためではない」
と、いわんばかりに、もうべつな仕事に取りかかっていた。
二条城の焼け跡に、大工事が始まった。濠を深くし、石を起し、東北一町も取りひろげて、将軍義昭のために、居館を新築してやろうというのである。
それも実に迅いのである。美濃、尾張、江州を初めとし、五畿内その他を併せて、十四ヵ国の人力と用材を徴発しての、大建築ではあったが、四月六日というと、もう落成式を挙げて、
「ここへお坐りなさい」
と、将軍家を移していた。
その時、義昭は彼の手を押しいただいて、
「あなたは、自分にとって、父にも勝る御方である」
と、いった。
心の底から出た声であろう。竣工移館の盛宴の席で、彼はみずから銚子を捧げて、
「御身のためにも祝おう」
と信長に酌をした。
彼にそのように歓ばれて、信長も愉快であったと見えて、
「与一郎。猩々を舞え」
と、従れている小姓へいった。