Clásicos japoneses con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lee 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 197.228 caracteres · 394 pantallas
「羽柴家の恥さらしめ。弱いもの虐めの極道め」
虎之助はそう云いながら、相手の眼や鼻がくしゃくしゃになるほど拳でぶん撲っていた。
「…………」
遠く逃げ退いて見ていた人々は声を出すのも忘れていた。あとの祟りを恐れてではない。あまりに予想が外れたからである。
虎之助は、脇差や書物を拾って、もとのように書物をかかえると、遠く見ている人々へ。
「もう大丈夫だよ。たれか酒屋の年よりの縄を解いておやり。それから、この足軽は、奉行所へ渡すといいよ。それが一ばんいいよ」
云いすてると、彼は見向きもせず立ち去った。長浜城の狭間にはもう燈灯がついて、夜となった町の辻には、いつまでもがやがや人が躁いでいた。
真っ暗な石井戸のそばで、たれか水でも浴びているような音がする。主命で探しに来た市松は、闇をすかして、
「於虎かあ」
と、よんでみた。
「おうい」
と、のろまな返辞がする。市松は怪しみながら側へ寄って、
「何をしているんだ、この夜中に」
と、裸の虎之助を見まもった。
「洗濯だよ、洗濯だ」
ざぶざぶ小袖と袴を洗っている。市松が、泥溝にでも転げ落ちたのかときくと、うむと、頷いて洗っている。