Clásicos japoneses con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lee 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 180.256 caracteres · 361 pantallas
「…………」
お奈加も、その時のことを、今ふと思い出していた。侍になるな、戦する身になるな――と、あの頃は、日吉の行く末に祈ったものであったが、自分で生んだ子も、成長するにつれて、どうにもならないものだということを、今はもう観念していた。
「持っておいで。……だけど日吉や、おまえはあれを、決して人様へ向って、抜いたりなどしまいね」
「えッ、いいの?」
「おつみ、持って来ておやり」
「いいよ。おらが取って来る」
日吉は、裏の物置小屋へ駈けこんだ。そして、そこらの物を踏台にして、壁の梁に吊ってある一腰のボロ脇差を取り下ろした。
すぐ腰に差した。
七歳の時に泣き喚いた自分のすがたが――遠い以前に振り返られた。急にすっくと、背の伸びたような成長感が、彼の胸を通りぬけた。
「日吉や、母さんが、もいちどおいでって」
おつみが、穿物をはいて、物置の方へ告げた。戻って見ると、母は壁の神棚へ、燈明を上げ、小さい木皿へ、一つまみの粟と、それから日吉の齎した塩とを盛って、掌を合わせていた。
「そこへお掛け」
上がり框へ、日吉を腰かけさせておいて、母は神棚から、剃刀を下ろした。
日吉は、それへ眼をまろくして、