Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lee 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 180.256 caracteres · 361 pantallas

Aozora Bunko

いや、尾張美濃の間には、国境もあるから、そうした警戒をどっちがしていても、そう不自然ではないが、美濃へはいってみると、美濃一国の内にも、お互いを疑い合うような眼が、どこにも光っていた。

「なぜでしょ?」

日吉が、七内に訊くと、

「知れたことを訊く奴だ。斎藤道三様と、その子の義龍とは、もう何年も前から、睨み合っている仲じゃねえか」

一国の中で、二つの勢力が反目し、一族のなかで、父と子とが闘っていることを、七内は何のふしぎとも思わずにいうのだった。

日吉は、七内の頭を疑った。

武門の上では、源平の頃でも、父と子とが、弓矢のあいだに、敵味方に立った例もないではないが、そこにはそれ以上の苦悶と理由があってのことだ。

「どうして、斎藤道三様と、子の義龍様とは、仲が悪いんですか」

腑に落ちない顔して、そこでまた、彼が訊くと、

「うるせえな」

七内は、舌打ちして、

「そんな事あ、人に訊け」

と、相手にもしてくれない。

日吉が、美濃の国の土を踏む前に第一に抱いていたものは、彼の気持に反く、その疑問だった。

だが、岐阜の里は、山水明媚な城下だった。町並びも麗しかった。

紅葉した稲葉山は、小雨に濡れたり、陽に映えたり、折から秋も更けた頃だったので、朝夕に見ても見飽かなかった。