Clásicos japoneses con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lee 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 180.256 caracteres · 361 pantallas
火の粉・風の子
――死をもって、きっと、喰い止めるから。よいか!」
火の粉・風の子
大竈が、三つも並んでいた。
炊事小屋である。
何俵という米も一度に炊いてしまいそうな大釜が、三つも懸っている。
その釜の蓋が、持ち上がりそうに今、糊と湯気を噴きこぼしていた。
これだけの飯を、一度に喰べてしまうのかと思うと、静かなようでも、この明智家の築土の中に生活している奥侍や、郎党や、その家族らの人数は、百人以上にものぼるのではないかと、日吉はさっきから、眼をみはっていた。
――そして密かに。
「こんなに豊富にある米が、中村にいる母や姉には、どうして、腹のはる程も、手に入らないのだろう」
と、不審になった。
母を思うと、飯を思い、飯を思うと、母の飢えを思うのが――今彼の習性のようになっていた。
「ひどい風だのう」
台所頭の老人が、すぐ向う側の厨からやって来て、竈場の火をのぞき、飯炊仲間や小侍の仕事ぶりを見まわして注意した。
「日が暮れても、風はやまぬようじゃから、火の元をよく気をつけてくれよ。――それと、一釜あがったら、すぐ後釜をかけての、手の空いておる者は、側から飯を握りにかかれ」