Clásicos japoneses con furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Lee 新潮記 (しんちょうき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 155.541 caracteres · 305 pantallas
「われら如き者も、高松にこの君ありと思ってずいぶん心強かったものだ、それが、人間はやはり磨かれぬといけないものだ、風土の穏やかで豊かな環境にばかり籠っていると、しぜん身も心も泰平になる、曾ては国を念って夙夜寝ることのなかった者が、やがては徒らに肥え太って身じろぎも重く、壮年にして早くも後世の安楽をたのむという愚昧なことになってしまう、まことに哀れとも不甲斐なしとも云いようがないありさまじゃないか」
「わたくしは亀阜荘さまが後世安楽をたのんでいらせられるとは存じませんが」
「それならなんのための日蓮執心だね、あんな無用なものに暇を潰すのが、後世安楽をたのむ以外になんの役にたつ」
「日蓮宗は無用のものですか」
東湖はそれには答えず、にわかに調子を変えて、「……三千世界の坊主を殺し君と朝寝がしてみたい、というのはどうだ」
あまりうまくない調子で俗謡を唄ったが、燗徳利に酒のないのをみて手を叩いた。それを聞きつけた夫人が、はいと答えて廊下をこちらへ来るようすだった。するとそのとき、庭のほうから、「お母あさま、お手が鳴ったらお酒です」と歌うように叫ぶ声がした。小四郎少年の声である。