Clásicos japoneses con furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Lee 新潮記 (しんちょうき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 155.541 caracteres · 305 pantallas
二
――ごしゅくんはもう、おれの掌中からとびだそうとしておられる、かれは御前を退下しながらそう思った。これは緊めてかからなければならぬ、さもないと、……さもないと。
二
頼胤はひとりになりたかったので、近侍のものを遠ざけて茶室へはいった。
兄のことを耳にするといつも胸を圧迫されるような気持になる、ずっとまえから、いってみればかれが松平家の継嗣に立った頃からそうであった。――自分は兄を恐れているのだろうか、そんなことはない。――では嫌っているのだろうか、いや嫌っているどころか、むしろもっとしばしば会って話したいと思う、離れているからそう思うのではない、去年高松へ帰ったときはできるかぎりの暇をつくって会った、夜をこめて話したことも両三度はある。
――それならなぜ、兄の話がでるとこのように胸苦しくなるのか、つきつめて考えればその原因はわかっている、だがそれをはっきり認めることは頼胤にとっては苦痛なのだ、苦痛を忍んでそれを認めたところで、今さらその原因を覆えすことはできない、しかもそれに由る心苦しさは、兄のことに触れるたびに頼胤の胸をつよく圧迫するのであった。