Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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しんぱん ほうろうき

新版 放浪記

林 芙美子

Lee 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 247.330 caracteres · 497 pantallas

Aozora Bunko

行商も駄目、書く事も駄目となれば、玉の井に躯を売り込むより仕方がないね。三好野で、三角の豆餅を一皿取って食べる。ぬるい茶がごくごくと咽喉を通る。

相変らずの下等な趣味。臆病で、弱気で、そのくせ、何かのほどこしを待っているこの精神だ。ほどこしを受けたい一心で生きているようなものだ。ねえ、私は、ねえと云う小説を書きたし。ウエルテルの嘆きと少しも変らぬ、そんなものだ。快適な地すべりをして、ウエルテルの文字は流れている。甘い事この上なしの惚れ文なり。私はもっと、憎悪を持って、男の事を考える。嘘ばかりで、文学が生れている。みせかけの図々しさで、作者は語る。淫蕩で、仁慈のあるスタイルで、田舎者の読者をたぶらかす。厭じゃありませんか。

いっその事、神田の職業紹介所まで行って、また、あの桃色カードの女になってみようかと思う。月三十円もあれば、また、静かに書きものは出来る。畳に腹ばって、二十枚八銭の原稿紙を書きつぶす快味。たまには電気ブランの一杯もかたむけて、野宿の夢を結ぶジオゲネスの現実。面白くもないこの日常から、きりきりと結びあげたい気にもなる。

蒸気をシュッシュッと吐いて生きなければなりませんとも……。