Clásicos japoneses con furigana
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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
Lee 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) de 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 138.172 caracteres · 277 pantallas
に書いてる女にも何かあるんだって? 困るわねえ、浅草にもだってね。」
自分の好きな男は、他女も好きなのだ――そんなふうに簡単に錦子に考えられたろうか?
錦子はこんなふうに思うこともある。阿古屋姫とは誰だろう――そもじは阿古屋の貝にもまさった宝と、何かに書いてあったが誰だろう。あたしかしら?
――甘いささやき――
銀蜂がブンブン言っているのでも、郷里へ帰った錦子は、ものごとが手につかなかった。
だが、ふと、美妙の手許にあった、薄すべったい、青黒い表紙の雑記帳を、一ひらめくって見た、厭な思い出もおもいださないことはない。表紙うらに鉛筆のはしり書きで、
奈まじいにあひ見る事のつれなきに
さりともあはで返されもせず
廿四年十一月六日作とあった。あれが、わたしへの、ほんとの美妙の心ではないかとも思い、いえ、そんなことは決してないはずだとも打消した。
しかし、どうも、それは、はずでばかりはなかったようだ。人の心は微妙であるから、なんとも他からはっきりは定められないが、美妙斎はそのころから関係のあった、浅草公園の女、石井留女を、九月尽日に落籍して、その祝賀を、その、おなじ雑記帳へも書いているのだ。