Clásicos japoneses con furigana
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あべいちぞく
日本の文学 3 森鴎外(二)
Lee 日本の文学 3 森鴎外(二) (あべいちぞく) de Mori Ōgai (森 鴎外) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 68.545 caracteres · 140 pantallas
ただ権兵衛殿に死を賜わるとなったら、きっと御助命を願って進ぜよう。ことに権兵衛殿はすでに髻を払われてみれば、桑門同様の身の上である。御助命だけはいかようにも申してみようと言った。市太夫は頼もしく思って帰った。一族のものは市太夫の復命を聞いて、一条の活路を得たような気がした。そのうち日が立って、天祐和尚の帰京のときが次第に近づいて来た。和尚は殿様に逢って話をするたびに、阿部権兵衛が助命のことを折りがあったら言上しようと思ったが、どうしても折りがない。それはそのはずである。光尚はこう思ったのである。天祐和尚の逗留中に権兵衛のことを沙汰したらきっと助命を請われるに違いない。大寺の和尚の詞でみれば、等閑に聞きすてることはなるまい。和尚の立つのを待って処置しようと思ったのである。とうとう和尚は空しく熊本を立ってしまった。
天祐和尚が熊本を立つや否や、光尚はすぐに阿部権兵衛を井出の口に引き出だして縛首にさせた。先代の御位牌に対して不敬なことをあえてした、上を恐れぬ所行として処置せられたのである。
弥五兵衛以下一同のものは寄り集まって評議した。権兵衛の所行は不埓には違いない。