Clásicos japoneses con furigana
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あべいちぞく
日本の文学 3 森鴎外(二)
Lee 日本の文学 3 森鴎外(二) (あべいちぞく) de Mori Ōgai (森 鴎外) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 68.545 caracteres · 140 pantallas
今から十九年前のことである。
奴頭が安寿、厨子王を連れて前へ出た。そして二人の子供に辞儀をせいと言った。
二人の子供は奴頭の詞が耳に入らぬらしく、ただ目をみはって大夫を見ている。今年六十歳になる大夫の、朱を塗ったような顔は、額が広くが張って、髪も鬚も銀色に光っている。子供らは恐ろしいよりは不思議がって、じっとその顔を見ているのである。
大夫は言った。「買うて来た子供はそれか。いつも買う奴と違うて、何に使うてよいかわからぬ、珍らしい子供じゃというから、わざわざ連れて来させてみれば、色の蒼ざめた、か細い童どもじゃ。何に使うてよいかは、わしにもわからぬ」
そばから三郎が口を出した。末の弟ではあるが、もう三十になっている。「いやお父っさん。さっきから見ていれば、辞儀をせいと言われても辞儀もせぬ。ほかの奴のように名のりもせぬ。弱々しゅう見えてもしぶとい者どもじゃ。奉公初めは男が柴苅り、女が汐汲みときまっている。その通りにさせなされい」
「おっしゃるとおり、名はわたくしにも申しませぬ」と、奴頭が言った。
大夫は嘲笑った。「愚か者と見える。名はわしがつけてやる。