Clásicos japoneses con furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lee 日本婦道記 (にほんふどうき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 10.743 caracteres · 22 pantallas
「べつにきげんを損じはせぬ、けれども」
藤右衛門は壁をみつめながら、
「やすはどうしてあのような物を、あのようなみぐるしい物を身につけていたのだ。わしはすこしも気がつかなかった、本当にあんなものしか持っていなかったのか」
「母上は、つましいことがお好きでございました」
「それだけか、つましくすることが好きだから、それだけであのような粗末なものを身につけていたというのか」
格之助はふかく面を伏せていたが、やがて低い声で呟くように云った。
「……お召物だけではございません。お身まわりのことすべてをつましくしておいででした。かようなことを申上げましては母上のお心にそむくかとも存じますが、母上はいつかこのように仰せられていました。……武家の奥はどのようにつましくとも恥にはならぬが、身分相応の御奉公をするためには、つねに千石千両の貯蓄を欠かしてはならぬ」
格之助がそう云うのを聞きながら、藤右衛門はふと、息をひきとったばかりの妻の手の触感を思いだした。夜具のそとにはみ出ていたのをいれてやろうとして、なにげなく握った妻の手はひどく荒れてざらざらとしていた。
「それはおまえに云ったのか」