Clásicos japoneses con furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lee 日本婦道記 (にほんふどうき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 12.412 caracteres · 25 pantallas
そんな心のひまがあったらそれだけ勉強をなさい。そう云って叔母は屹と姿勢をただすのだった、茶を馳走になって、いいようもなくもの寂しい気持で彼は叔母の居間から出て来た。
その夜は早く寝所へはいった。あしかけ六年ぶりで寝る部屋である、壁も襖も懐かしかった、天井も長押も、眼にいるものすべてが幼ない日の記憶をよびさまして呉れる。彼は古い友だちにでも逢ったように、ながいこと部屋の内を眺めまわしていた、それから夜具の中にのびのびと身を横たえ、囁やくようにしずかなこえで「お母さま」と呼びかけた、「弁之助が帰ってまいりましたよ、ずいぶんお久しぶりですねえ」
そのとき寝所の外の廊下に、由利が身をひそめて彼の囁やきを聞いていた。膝をかたく息をころして、暫らくのあいだ弁之助の独りごとを聞きすましていたが、やがてしずかに立ちあがり、足音をしのんでそこを去った、それから仏間へはいってゆき、仏壇をひらいて燈明をあげ香を※(「火+(麈-鹿)」、第3水準1-87-40)いた。鎧を着たような身構はもうなく、表情もなごやかにゆるんで、双の眼にはあたたかな涙さえうかんでいた。由利はしずかに坐り、合掌しながらじっと仏壇を見あげていたが、間もなく両手で面を掩いながら、こえをひそめて泣きだした。