Clásicos japoneses con furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Lee 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 149.813 caracteres · 302 pantallas
子供等の墓は間(あい)を置いて三つ並んだ。境内は樹木も多く、娘達のことを思出しに行くに好いような場処であった。葬式の後、家内は姪を連れてそこへ通うのをせめてもの心やりとした。
子供の亡くなったことに就いて、私は方々から手紙を貰った。殊に同じ経験があると言って、長く長く書いて寄(よこ)してくれた雑誌記者があった。君とは久しく往来も絶えて了ったが、その手紙を読んで、何故に君が今の住居(すまい)の不便をも忍ぶか、ということを知った。君は子供の墓地に近く住むことを唯一の慰藉(なぐさめ)としている。
不思議にも、私の足は娘達の墓の方へ向かなく成った。お繁の亡くなった頃は、私もよく行き行きして、墓畔(ぼはん)の詩趣をさえ見つけたものだが、一人死に、二人死にするうちに、妙に私は墓参りが苦しく可懼(おそろ)しく成って来た。
「父さんは薄情だ――子供の墓へお参りもしないで」
よく家のものはそれを言った。
私も行く気が無いではなかった。幾度(いくたび)か長光寺の傍(そば)まで行きかけては見るが、何時でも止して戻って来た。何となく私は眩暈(めまい)して、そこへ倒れそうな気がしてならなかった。