Clásicos japoneses con furigana
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はるいくたび
春いくたび
山本 周五郎
Lee 春いくたび (はるいくたび) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 70.094 caracteres · 142 pantallas
信長という後ろだてをうしなって、一時は気を落とした三好勢も、敵を本城にむかえて、いよいよ決死の戦いとなるとさすがにつよい。いままで勝ちに乗じた長曾我部軍も、四国三郎とよばれた吉野川の河ほとりに食い止められ、すさまじい乱戦となったのである。
もうもうと立ちこめる硝煙、だだだだあーんととどろく銃声、剣は槍とあい打ち、騎馬ととびかい、あい組み、あい討ち、おしつかえしつもみあううち、どうしたことか、長曾我部勢の一角がどっとくずれたった。
これを見た元親は、
「ええ、ふがいなし、三好の残兵なにほどのことやある、ひともみにけちらせ!」
と大槍をとって叱咤した。
しかし、ひとたびくずれたった勢いはどうしようもない。日ごろ勇武のきこえ高い旗本勢までが、意気地なくも退却をはじめたではないか、元親は馬上で歯がみした。その時であった。突如として長曾我部軍の右翼に、
「わあーっ」
と喊声があがる。見ると、犀の角の一本前立てうった兜に、黒糸おどしの鎧をつけた武者が、馬上に三尺二寸(一メートルたらず)の大太刀をふりかざしつつ、
「やあ、土佐武士の死すべきはここぞ、名をおしむ者はつづけ、死ねや死ねや――」