Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ばんきく

晩菊

林 芙美子

Lee 晩菊 (ばんきく) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 15.998 caracteres · 32 pantallas

Aozora Bunko

長く生きて来たものだと思う時もあったが、また短い青春だったと思う時もある。養母が亡くなったあと、いくらもない家財は、きんの貰われて来たあとに生れたすみ子と云う義妹にあっさり継がれてしまっていたので、きんは養家に対して何の責任もない躯になっていた。

きんが田部を知ったのは、すみ子夫婦が戸塚に学生相手の玄人下宿をしている頃で、きんは、三年ばかり続いていた旦那と別れて、すみ子の下宿に一部屋を借りて気楽に暮していた。太平洋戦争が始った頃である。きんはすみ子の茶の間で行きあう学生の田部と知りあい、親子ほども年の違う田部と、何時か人目を忍ぶ仲になっていた。五十歳のきんは、知らない人の目には三十七八位にしか見えない若々しさで、眉の濃いのが匂うようであった。大学を卒業した田部はすぐ陸軍少尉で出征したのだけれども、田部の部隊はしばらく広島に駐在していた。きんは、田部を尋ねて二度ほど広島へ行った。

広島へ着くなり、旅館へ軍服姿の田部が尋ねて来た。革臭い田部の体臭にきんはへきえきしながらも、二晩を田部と広島の旅館で暮した。はるばると遠い地を尋ねて、くたくたに疲れていたきんは、田部の逞ましい力にほんろうされて、あの時は死ぬような思いだったと人に告白して云った。