Clásicos japoneses con furigana
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ちえこのはんしょう
智恵子の半生
高村 光太郎
Lee 智恵子の半生 (ちえこのはんしょう) de 高村 光太郎 (たかむらこうたろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 12.697 caracteres · 25 pantallas
彼女の家系には精神病の人は居なかったようであるが、ただ彼女の弟である実家の長男はかなり常規を逸した素行があり、そのため遂に実家は破産し、彼自身は悪疾をも病んで陋巷に窮死した。しかし遺伝的といい得る程強い素質がそこに流れていると信じられない。又彼女は幼児の時切石で頭蓋にひどい怪我をした事があるという事であるがこれも其の後何の故障もなく平癒してしまって後年の病気に関係があるとも思えない。又彼女が脳に変調を起した時、医者は私に外国で或る病気の感染を受けた事はないかと質問した。私にはまったく其の記憶がなかったし、又私の血液と彼女の血液とを再三検査してもらったが、いつも結果は陰性であった。そうすると彼女の精神分裂症という病気の起る素質が彼女に肉体的に存在したとは確定し難いのである。だが又あとから考えると、私が知って以来の彼女の一切の傾向は此の病気の方へじりじりと一歩ずつ進んでいたのだとも取れる。その純真さえも唯ならぬものがあったのである。思いつめれば他の一切を放棄して悔まず、所謂矢も楯もたまらぬ気性を持っていたし、私への愛と信頼の強さ深さは殆ど嬰児のそれのようであったといっていい。