Clásicos japoneses con furigana
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きのしたもくたろう『からくさひょうし』じょ
木下杢太郎『唐草表紙』序
Lee 木下杢太郎『唐草表紙』序 (きのしたもくたろう『からくさひょうし』じょ) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 3476 caracteres · 7 pantallas
あなたの書いたもののうちには、人が気狂になる所があります。人が短刀で自殺する所も、短銃で死ぬ所もあります。是等は大概裏から書くか、又は極簡単に叙し去って仕舞われるので、当り前の場合でも、それ程苦痛に近い強烈な刺戟を読者に与えないかも知れませんが、それでも、若し以上に述べたような詩的の雰囲気の中で事が起らなかったなら、ああした淡い好い感じは与えられますまい。
此ぼうっとした印象が、美的な快感を損わない程度の軽い哀愁として、読者の胸にいつの間にか忍び込む理由を、客観的に翻訳すると色々な物象として排列されます。其内で私は歴史的に読者の過去を蕩揺する、草双紙とか、薄暗い倉とか、古臭い行灯とか、または旧幕時代から連綿とつづいている旧家とか、温泉場とかを第一に挙げたいと思います。過去はぼんやりしたものです。そうして何処かに懐かしい匂いを持っています。あなたはそれを巧に使いこなして居るのでしょう。
単に歴史上の過去ばかりではありません、あなたは自分の幼時の追憶を、今から回顧して忘れられない美くしい夢のように叙述しています。私は一、二、三、四、と段々読んで行くうちに此種の情調が、私の周囲を蜘蛛の糸の如く取り巻いて、散文的な私を、何時の間にか夢幻の世界に連れ込んで行ったのをよく記憶しています。