Clásicos japoneses con furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Lee 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 177.586 caracteres · 348 pantallas
ホクチも商品の最も低価なものに算えられていたが、是は山村だけにはまだ自給する家が少しはあった。その材料は土地ごとに甚だ区々で、蒲や芒の穂の枯れたものも使えば、或いは朽木の腐りかけた部分を取ってきて、少し火に焦がして貯えて置く者もあったが、色はクマボクチなどと謂って黒いのが珍重せられていた。勿論この方が火つきが好かったためで、是は炭の粉を交ぜればすぐにできることだが、こんな何でもない工夫でもやはり商人に始まり、それで追々と商品化してきたようである。いつから是が日本に始まったかということは記録に見えぬが、燧石の使用に伴なうものだから、やはりまた一箇の新発明であった。燧で火を鑽るということは大昔からで、なんぼ何でも是くらいは原始文化であろうと、思っている人も有るか知らぬが、それも推量はちがっている。民族を一団として言えばどこかの中心に、夙くからその器具と技術とは備わっていたのだが、是を家々の自由に供与するまでには、やはり永い年月と手順とを要したのである。燧石は稜があるからカド石という土地が多い。そのカド石は山で拾い、または川原にあるものを割っても用いられるとしても、一方の鉄だけは鍛冶が来て打ってくれるのを待たなければならぬ。