Clásicos japoneses con furigana
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すだま
木魂
夢野 久作
Lee 木魂 (すだま) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 23.668 caracteres · 46 pantallas
彼はそれから後、来る日も来る日もそうした昔の習慣を判で捺したように繰返し初めたのであったが、しかしその中にはタッタ一つ以前と違っている事があった。それは学校を出てから間もない堀割の中程に立っている白いシグナルの下まで来ると、おきまりのようにチョット立止まって見る事であった。
彼はそうしてそこいらをジロジロと見廻しながら、吾児の轢かれた遺跡らしいものを探し出そうとするつもりらしかったが、既に幾度も幾度も雨風に洗い流された後なので、そんな形跡はどこにも発見される筈が無かった。
しかし、それでも彼は毎日毎日、そんな事を繰り返す器械か何ぞのように、おんなじ処に立ち佇まって、くり返しくり返しおんなじ処を見まわしたので、そこいらに横たわっている数本の枕木の木目や節穴、砂利の一粒一粒の重なり合い、又はその近まわりに生えている芝草や、野茨の枝ぶりまでも、家に帰って寝る時に、夜具の中でアリアリと思い出し得るほど明確に記憶してしまった。そうして彼はドンナニ外の考えで夢中になっている時でも、シグナルの下のそのあたりへ来ると、殆んど無意識に立佇まって、そこいらを一渡り見まわした後でなければ、一歩も先へ進めないようにスッカリ癖づけられてしまったのであった……何故そこに立佇まっているのか、自分自身でも解らないままに、暗い暗い、淋しい