Clásicos japoneses con furigana
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すだま
木魂
夢野 久作
Lee 木魂 (すだま) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 23.668 caracteres · 46 pantallas
ところが、そんな風に数学の問題に頭を突込んで一心になっている時に限って、思いもかけない背後の方から、ハッキリした声で……オイ……と呼びかける声が聞こえて、彼をビックリさせる事がよくあった。それは、むろん父親の声でもなければ先生の声でも、友達の声でもない。誰の声だか全くわからなかったが、しかし非常にハッキリしていた事だけは事実であった。ダシヌケに大きな声で……ウオイ……という風に……。だから彼はビックリして跳ね起きながら振り返ってみると誰も居ない。雑木林がカーッと西日に輝いて、鳥の声一つ聞こえないのであった。
それは実に不思議な、神秘的な心理現象であった。最初のうち彼は、そんな声を聞くたんびに髪の毛がザワザワとしたものであったが、しかし、それは一時的の神経作用といったようなものではなかったらしく、その後も同じような……又は似たような体験を幾度となく繰返したので、彼はスッカリ慣れっこになってしまったのであった。
彼が、やはり数学の問題を考え考えしながら、山の中の細道をどこまでもどこまでも歩いて行くと、いつからともなく向うの方から五六人か七八人位の人数でガヤガヤと話しながら、こっちの方へ来る声が聞こえ初める。