Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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しゅにっき

朱日記

泉 鏡花

Lee 朱日記 (しゅにっき) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 13.583 caracteres · 28 pantallas

Aozora Bunko

時刻はまだ大丈夫だとは思いますが、そんな、こんなで帰りが遅れて、途中、もしもの事があったら、これをめしあがれよ。そうすると烟に捲かれませんから。)

とそう云ってな。……そこで、袂から紙包みのを出して懐中へ入れて、圧えて、こう抱寄せるようにして、そして襟を掻合せてくれたのが、その茱萸なんだ。

(私がついていられると可いんだけれど、姉さんは、今日は大事な日ですから。)

と云う中にも、風のなぐれで、すっと黒髪を吹いて、まるで顔が隠れるまで、むらむらと懸る、と黒雲が走るようで、はらりと吹分ける、と月が出たように白い頬が見えたと云う……

けれども、見えもせぬ火事があると、そんな事は先生には言憎い、と宮浜が頭を振ったそうだ。

(では、浪ちゃんは、教師さんのおっしゃる事と、私の言う事と、どっちをほんとうだと思います。――)

こりゃ小児に返事が出来なかったそうだが、そうだろう……なあ、無理はない、源助。

(先生のお言に嘘はありません。けれども私の言う事はほんとうです……今度の火事も私の気でどうにもなる。――私があるものに身を任せれば、火は燃えません。そのものが、思の叶わない仇に、私が心一つから、沢山の家も、人も、なくなるように面当てにしますんだから。