Clásicos japoneses con furigana
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まつかぜのもん
松風の門
山本 周五郎
Lee 松風の門 (まつかぜのもん) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 12.862 caracteres · 26 pantallas
二
「……はてな」ある日、若い武士は吃驚したように呟いた、「達磨はこんなことに気が付いたかしらん、蜥蜴などに気をとられたことがあるだろうか」
「……そうだ」暫くして彼は再び呟いた、「同じことだ、見ようと見まいと蜥蜴はやって来る、例え達磨が気をとられなかったとしても、やっぱり彼の側近くには蜥蜴が這い廻っていたに違いない」
若い武士の唇にはしずかな微笑が泛んだ。日は経っていった、彼の頬や顎は濃い髭で蔽われ、深い両眼は益々深く落窪んだ。いまでは静坐にも馴れて、半日あまりは身動きもせずに坐っていられる。食べ物は乾した棗の実と僅に干飯を噛むだけである。夜になると緋羅紗に身を包んで、ごつごつした岩床の上にそのまま眠った。そしてある朝、冬の前触れの霜が洞穴の外いちめんに白々と結んだ。
二
寛文十年十月、伊予国宇和島の領地へ、藩主として初めて国入をした伊達大膳太夫宗利は、亡父秀宗の展墓を済ませるとすぐその翌日、鶴島城で家臣たちの引見を行った。宗利はこの宇和島で寛永十七年に生れ、十一歳のとき江戸へ去ってからほとんど二十年ぶりの帰国である。亡き秀宗が就封するとき、祖父政宗から選ばれて来た十五人の老職と、五十七騎衆の人々が居並んでいる広間で、式は朝の八時から午近くまで掛った、午後は賜宴であったが、宗利は長く席にいないで去り、朽木大学