Clásicos japoneses con furigana
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やなぎばしものがたり
柳橋物語
山本 周五郎
Lee 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 104.300 caracteres · 202 pantallas
鍋の蓋をとって、泥鰌汁を掬おうとすると、昼間の元気なお祖父さんの姿が思いだされ、胸がいっぱいになってとうとう泣きだしてしまった。
明くる日は朝から見舞い客が来た。食事拵えや茶の接待は近所の人びとがして呉れた、そのなかでも、すぐ裏にいる魚屋のおらくという女房がいちばん手まめで、まるで自分の家のことのように気をいれて働いて呉れた。夜どおし寝なかったおせんは、午すぎになるとさすがに疲れが出た、みんなもすすめるし自分でも堪らなくなったので、隅のほうへ夜具を敷いて横になったが、すぐに熟睡して眼がさめたときはもう昏れかけていた。
「眼がおさめかい」膳拵えをしていたおらくが、立ちながらそう云った、「……つい今しがたおもんさんという娘が見舞いに来て呉れたけれど、あんまりよく眠っておいでだから帰って貰いましたよ」
「おもんちゃんが、どこで聞いたのかしら」
「また明日来ますとさ、それから晩の支度はここにできているからね、お湯もすぐ沸くからおあがんなさいよ、あたしはちょっと家のほうを片づけて来ますからね」
そう云っておらくは帰っていった。
空腹ではあったが食欲はなかった、ほんのまねごとのように箸を取っただけで、あと片づけをしていると杉田屋からお蝶が来た。