Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lee 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 167.285 caracteres · 330 pantallas
玄四郎は頭を垂れた。
おみやは「云ってくれ」と繰り返し、彼はじっと頭を垂れていた。おみやはたしかに人が変った。初めに会ったときの、多情多弁な女ではなくなっている。自分で自分を素裸にするような、告白のしかたでもわかるし、顔つきまでが違ってみえるようだ。
――信じても大丈夫だろうか。
玄四郎は迷った。おみやの変化が動かないものかどうか、誰にも証明することはできないだろう。黙っていれば間違いはない、けれどもその「証書」の誘惑はあまりに強く、それを手に入れたばあいの、大きな価値を考えると、みすみすこの好機を失う気にはなれなかった。
――よし、やってみよう。
もしも間違ったら、自分がその責任をとればいい、思いきってやってみよう、と玄四郎は心をきめ、では、と頭をあげた。
「では話しましょう。私も隠さずに話しますから、聞いて下さい」
おみやは眼で頷いた。
玄四郎は自分がもと原田甲斐の家従で、本当の名は中黒達弥というのだ、ということから話しだした。おみやは身動きもせずに聞いていた。玄四郎は気がつかなかったが、おみやの受けたおどろきは、よほど深く、痛烈なものだったとみえ、蒼ざめた顔は硬ばったまま仮面のようになり、眼は焦点を失って、二つの暗い穴のようになった。