Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lee 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 167.285 caracteres · 330 pantallas

Aozora Bunko

その夜、雁屋信助が来て、帰ったあと、ほぼ一刻ほど経ったころに、老女の鳥羽から使いがあった。

鳥羽は亀千代の守であるが、使いに来たのは、鳥羽の使っている部屋子の少女で、「非常にいそぐから」と云い、手紙を置くと、すぐに帰ろうとした。甲斐は寝所にはいっていたが、少女をすぐには帰さず、待たせておいて手紙を読んだ。それはかなり長文のもので、読みはじめるとまもなく、甲斐の表情が変り、そのほおがひきつるように見えた。

――御膳の物に毒があり、鬼役(毒見)の者三名が死んだ。

ということから、その手紙は書きだしてあった。

――米山兵左衛門、吐血。千田平助、即死。塩沢丹三郎、吐血。

――一ノ関の命令で、医師の河野道円とその子二人は、召捕り押しこめ、料理人二人も押しこめとなり、一ノ関の主張にて、ただちに評定がひらかれたうえ、河野父子三人は刎首、料理人二名も死罪、ということにきまった。

――評定は一ノ関の思うままに操縦された。松山(茂庭周防)は病中で欠席したし、原田どのは賜暇で不在。席に列した国老は、富塚内蔵允、大条兵庫だけで、これらも一ノ関には対抗できなかったし、評定役の人たちはなおさら、一言も異議を述べる者はなかった。