Clásicos japoneses con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lee 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 145.078 caracteres · 285 pantallas
「私は人間を侮辱することは嫌いだ」
「ちょっと待て、きさま怒ったらしいな」そう云いながら、六郎兵衛は片手で刀を捜した、「気の短い男だ、こんなことですぐに怒るやつがあるか、まあ坐ってくれ」
玄四郎は六郎兵衛の刀を脇へ押しやった。
「金はこの店へ預けておく」と彼はもういちど云った、「ゆっくり飲んでゆくがいい、そして、屋敷へ押しかけて来ると云ったが、私のほうは構わないからいつでも来てくれ」
「おれの刀がないぞ」
「貴方の捜さなければならないのは刀ではない」と玄四郎は静かに云った、「いまも、これからさきも、貴方に必要なものはほかにある筈だ、そこをよく考えるがいいだろう」
「おい待て、ちょっと待て」六郎兵衛は片手をさしのべた、「まだ話すことがある、待ってくれ、おれはきさまを誤解したようだ、もう少し話そう、おれは、――おい、黒田」
六郎兵衛は口をつぐみ、耳をすました。廊下を遠のいてゆく足音が聞え、それからどこかの座敷で、人の話したり笑ったりする声が聞えた。
「しくじったな、柿崎」と六郎兵衛は自分に云った、「いいやつらしかったじゃないか、どうして怒らせたんだ、うまくやれば金蔓になったかもしれないのにさ」