Clásicos japoneses con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lee 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 200.443 caracteres · 398 pantallas
そのお友だちがだれだかは私にはわかりません。父は私にそれを申しませんでしたし、私もたずねて見る気にもならなかったのです。」
次郎は、それ以上読み進む勇気がしばらくは出なかった。
かれの気持ちは、非常に複雑だった。まず第一に、かれは恭一のやり方がきわめて愚劣であり、自分に対するこの上もない侮辱であると思った。自分が道江を思っていることは、道江の父にはもうはっきりわかっているにちがいない。それがまだ道江にはわかっていないとしても、いつかは彼女の耳にもはいるだろう。その時の道江の顔を想像しただけでも、身がちぢむような気がするのだった。しかし、また一方では、道江が、「お友だちの名をたずねてみる気にもならなかった」と書いているのには、ある怒りを感じないではいられなかった。これが死ぬほど自分を愛している者に対する態度だろうか。かりに彼女の父があからさまに真実を語ったとしたらどうだろう。それでも彼女はそうした冷淡な態度に出られるのだろうか。もし出られるとすると、彼女にとって自分は一たい何なのだ。いや自分にとって彼女は一たい何なのだ。――そこまで考えると、恭一のやり方の愚劣さに対する怒りは、その底に、自分で意識しない嫉妬の感情を波うたせて、いよいよ昂じて行くのであった。