Clásicos japoneses con furigana
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ししゃのしょ
死者の書
折口 信夫
Lee 死者の書 (ししゃのしょ) de 折口 信夫 (おりくちしのぶ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 62.340 caracteres · 126 pantallas
九
九
兵部大輔大伴家持は、偶然この噂を、極めて早く耳にした。ちょうど、春分から二日目の朝、朱雀大路を南へ、馬をやって居た。二人ばかりの資人が徒歩で、驚くほどに足早について行く。此は、晋唐の新しい文学の影響を、受け過ぎるほど享け入れた文人かたぎの彼には、数年来珍しくもなくなった癖である。こうして、何処まで行くのだろう。唯、朱雀の並み木の柳の花がほほけて、霞のように飛んで居る。向うには、低い山と、細長い野が、のどかに陽炎うばかりである。資人の一人が、とっとと追いついて来たと思うと、主人の鞍に顔をおしつける様にして、新しい耳を聞かした。今行きすごうた知り人の口から、聞いたばかりの噂である。
それで、何か――。娘御の行くえは知れた、と言うのか。
はい……。いいえ。何分、その男がとり急いで居りまして。
この間抜け。話はもっと上手に聴くものだ。
柔らかく叱った。そこへ今一人の伴が、追いついて来た。息をきらしている。
ふん。汝は聞き出したね。南家の嬢子は、どうなった――。
出端に油かけられた資人は、表情に隠さず心の中を表した此頃の人の、自由な咄し方で、まともに鼻を蠢して語った。