Clásicos japoneses con furigana
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ぼしじょじょう
母子叙情
岡本 かの子
Lee 母子叙情 (ぼしじょじょう) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 77.355 caracteres · 153 pantallas
何も人間の判る判らないのに、順序や年代があると決らないでしょう。本を読んだり年を取ったり、体が育ったりするだけでも、その人の感情や嗜好や興味は変って来るでしょう」
「それはそうね。でもその人を貫く大たいの情勢とか嗜好とかの性質は、そう変らないでしょう」
「そうです。それだけに大たいを貫くものにぶっ突からないものは、じきはずれて行くんです」
「それで判ったわ」
「ほんとうですか。書物にだってそうです。自分がその中に書いてあることにむしろ悩まされながら、執着したりかかずらわずにはいられない書物があるでしょう」
「近頃そんな書物に逢って?」
「シェストフですね。シェストフの虚無を随分苦しみながら噛み締めました。だが、西洋人の虚無は、すでに『否定』という定義的な相手があっての上の虚無です。ですから感情的で痛快ですが、徹底した理智的なものとは云えません。と云って東洋人の虚無は、自然よりずっと冷い虚無です。石か木かに持たすべき思想です。そこで僕等は『何処へ行くべき』です」
「あなたの云うそれは、東洋の老荘思想の虚無よ。大乗哲学でいう『空』とか『無』とかはまるで違うのよ。あらゆるものを認めてそれを一たん無の価値にまで返し、其処から自由性を引き出す流通無碍なものということなのよ。