Clásicos japoneses con furigana
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みずとりてい
水鳥亭
Lee 水鳥亭 (みずとりてい) de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 30.705 caracteres · 62 pantallas
一匹のイワシ
一匹のイワシ
日曜の夜になると、梅村亮作の女房信子はさッさとフトンをかぶって、ねてしもう。娘の克子もそれにならって、フトンをひっかぶって、ねるのであった。
九時半か十時ごろ、
「梅村さん。起きてますか」
裏口から、こう声がかかる。
火のない火鉢にかがみこんで、タバコの屑をさがしだしてキセルにつめて吸っていた亮作は、その声に活気づいて立ち上る。
いそいそと裏戸をあけて、
「ヤア、おかえりですか。さア、どうぞ、おあがり下さい」
声もうわずり、ふるえをおびている。
野口は亮作の喜ぶさまを見るだけで満足らしく、インギンな物腰の中に社長らしい落付きがこもってくる。彼は包みをといて、
「ハイ。タマゴ。それから、今朝はイワシが大漁でしてね」
タマゴ三個と十匹足らずのイワシの紙包みをとりだしてくれる。
「これはウチの畑の大根とニンジン」
それらの品々は亮作の目には宝石に見まごうほどの品々であった。彼は茫然とうけとっているのである。その目には、涙が流れさえするのであった。
「もう、みなさんは、おやすみですか」
「いえ、かまいませんよ。どうぞ、あがって下さい」
「いま伊東からの帰り路ですよ。