Clásicos japoneses con furigana
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えいじつしょうひん
永日小品
Lee 永日小品 (えいじつしょうひん) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 50.000 caracteres · 100 pantallas
それから四方の田にあたる音である。向うに見える貴王の森にあたる音も遠くから交って来るらしい。
森の上には、黒い雲が杉の梢に呼び寄せられて奥深く重なり合っている。それが自然の重みでだらりと上の方から下って来る。雲の足は今杉の頭に絡みついた。もう少しすると、森の中へ落ちそうだ。
気がついて足元を見ると、渦は限なく水上から流れて来る。貴王様の裏の池の水が、あの雲に襲われたものだろう。渦の形が急に勢いづいたように見える。叔父さんはまた捲く渦を見守って、
「獲れる」とさも何物をか取ったように云った。やがて蓑を着たまま水の中に下りた。勢いの凄じい割には、さほど深くもない。立って腰まで浸るくらいである。叔父さんは河の真中に腰を据えて、貴王の森を正面に、川上に向って、肩に担いだ網をおろした。
二人は雨の音の中にじっとして、まともに押して来る渦の恰好を眺めていた。魚がこの渦の下を、貴王の池から流されて通るに違いない。うまくかかれば大きなのが獲れると、一心に凄い水の色を見つめていた。水は固より濁っている。上皮の動く具合だけで、どんなものが、水の底を流れるか全く分りかねる。