Clásicos japoneses con furigana
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「ちんもく」のはなし
「沈黙」の話
豊島 与志雄
Lee 「沈黙」の話 (「ちんもく」のはなし) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 6184 caracteres · 13 pantallas
も一つは、美しい娘の死体で、豊かな肉体がそのまま蝋化した、みごとなミイラだった。
洞窟内のこの秘密は、二人以外の誰によって知られたのか、或は想像されたのか、そこのところは不明であるが、とにかく、二つの死体が発見されたのは事実で、それが鄭重に黒檀の箱に納められ、洞窟の中に安置され、更に鉄柵を以て俗縁を断たれて、秘仏として礼拝されているのである。
この秘仏は、永劫不可見のものとなっている。それを、ヒマラヤから西蔵へかけて或る秘密探査に行った某君が、旅のつれづれのまま、ひそかに鉄柵を開き、黒檀の箱まで開いて、中を覗いてしまったのである。
既に覗かれたものである。茲に発表しても、さして仏罰はあたるまい。なおその上、右の某君の冒涜な言は、筆者の筆を走らす動機の一つともなった。某君は酒席などで、酔余の饒舌のうちに、若い美妓なんかに対して、往々変なことを口走る。
「君なんかは、若くて美しいから、用心し給い。あんまり色恋に夢中になって、見つめたり、見入られたりすると、危険だよ。一心に見つめると、三つ目になるし、一心に見入られてると、ミイラになるからね。」
そして、某君は呵々大笑するのだが、可笑しいのは夫子一人だけで、誰にも何のことやら分らない、筆者だけには分るが……。