Clásicos japoneses con furigana
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Lee 浅草風土記 (あさくさふどき) de 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 162.294 caracteres · 318 pantallas
三
だから違うといえば違う……
田中ァ。――田中ァ……
大した人気だ。筋書のうえにさらした眼を転じてわたしは舞台をみた。ちょうどその筋書の、各自子分共が刀の柄に手をかけて睨む間を縫って悠然と花道を帰って行く時次郎。――田中介二扮するところの追分の時次郎のうえをわたしはみまもった。
三
が、わたしは、はじめてみるのだ、この役者を。――名まえはむかしから知っているけど、顔をみるのは、今日がいまはじめてだ。
なぜむかしから名まえを知っているかということは、役者としてのその名まえを知っているのじゃァない。作家としての、新進作家としての其名まえをわたしは知っていたのだ。
作家?――田中と新進作家?……
知らない人は信じないかもしれない。が、いまをさるざっと二十年まえ、わたしのはじめての作が「三田文学」に載ったとき、かれのはじめての作もまた「早稲田文学」に出たのだ。そうしてかれは圧倒的な好評をえた。――それが「死の歓び」という若い朝鮮人の自殺をあつかった小説、きわめて美しい文章の、かなりの長さをもった小説だったことをいまなおわれわれにおぼえさせているほど、当時の文壇をその作は刺戟した。