Clásicos japoneses con furigana
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かいなんき
海難記
久生 十蘭
Lee 海難記 (かいなんき) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 28.628 caracteres · 56 pantallas
七月六日の朝、メリク岬の附近に上陸したアングラス隊の難行のうちでも、ゲラン伍長と細君のクロチルドの運命はこの上もない不幸なものであった。ゲラン伍長は七月六日の朝、アングラス中尉について上陸し、五十八名の一隊の後衛になって沙漠を行進して行ったが、クロチルドはメデュウズの難破以来の恐怖と不安で神経をすりへらし、歩くことも出来ないような半病人になっていて、ゲランの肩につかまりながらそれでも二日の間頑張っていたが、三日の夕方、みんなが出発しても、坐りこんだところから立ちあがらなかった。
一隊の宿営したところは、丈の低い灌木が繁りあうオアシスだったが、クロチルドはこの涼しいところで静かに死にたいから、かまわずここへ置いて行ってくれというのである。ゲランは前後の状況を判断して、精神に刺激を与えて発奮させるほかに手はないと思い、
「ここで死にたいというなら置いて行ってやる。だが、猛獣に喰われたり、モール人に掴まって奴隷にされるのはみじめだから、いっそ、おれが殺してやろう。サーベルで心臓を突いてやる」
そういうと、クロチルドは、
「どうか、そうしてください。それで苦しみも終りになるから」