Clásicos japoneses con furigana
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せいひんのしょ
清貧の書
林 芙美子
Lee 清貧の書 (せいひんのしょ) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 18.061 caracteres · 36 pantallas
その町の中ほどには川があった。白い橋が架っている。その橋の向うは、郊外らしい安料理屋が軒を並べていて、法華寺があると云う事であった。
私は米を一升ほどと、野菜屋では、玉葱に山東菜を少しばかり求めて、猫の子でも隠しているかのように前掛けでくるりと巻くと、何度となく味わったこれだけあれば明日いっぱいはと云う心安さや、またそんな事をいつまでも味わって暮さなければならなかった度々の男との記憶――いっそ、どこかに突き当って血でも吹き上げたならば、額でも割って骨を打ち砕いたならば、進んで行く道も判然とするであろう。仕事をするためにか、食べるためにか、どんなために人間は生きているのであろうか、私は毎日が一時凌ぎばかりであるのが、だんだん苦痛になって来ていた。
手探りで枳の門を潜ると、家の中は真暗で、台所の三和土の上には、七輪の炭火だけが目玉のように明るく燃えていた。
「どこへ行っていたんだ?」
「私、ねえ……お米が無かったから、通りへ行っていたのよ」
「米を買いに? なぜそう早く云わないんだ。もう動けないよッ」
与一は大の字にでも寝ているらしく、そういいながら、転々と畳をころがっているようなけはいがしている。